ハードコアバンドの社会的地位-現状編

少し思うことがあり、「ハードコアバンドの社会的地位」について書いてみようと思います。
まずは自身のバンドの経験を踏まえて現状について。


1)ハードコアという音楽
まずそもそも「ハードコア」とは何ぞやと言う話ですが、ざっくり言うとシャウトボーカルをベースにした激しい音楽です。
複雑かつ解釈の別れるジャンルの話はここではあまりしませんが、「ハードコア」のルーツはパンクがベースだと思っています。
今やメタルやエモとも深く交わり、○○ハードコアというサブジャンルが沢山発生していますね。


2)ハードコアの一般的な認知
自分もハードコアバンドをやっている訳なんですが、このジャンルはとてもアンダーグラウンドで一般的な認知はほぼ皆無です。
同じような境遇の人は自分のやっている音楽を友達や家族に説明するのにいつも苦心していることでしょう。
「どんな音楽?例えばどんなバンド?」
なんて質問にまともに答えたところで理解されないわけです。自分は
Green Dayとかが激しくなった感じ」
なんていう雑な受け答えをよくしています(笑)
その認知の低さがタイトルに書いた社会的地位の低さに繋がっているんでしょうね。
「社会的地位」って言うと凄く大げさですが、ライブの動員が少ない、You Tubeの再生回数も伸びないって言うと分かりやすくなるでしょうかね。


3)ハードコアバンドのライブについて
バンドは基本的にライブハウスにおカネを払うことでライブをしています。(スタジオライブなんてのもありますが)
ライブには大きく2パターンあって、「ブッキング」と「ホールレンタル」です。

ブッキングはライブハウスが企画するイベントに出演し、バンド側はノルマと呼ばれる出演料を支払います。
ノルマはチケット代に比例しますが、1500円x15枚で2万ちょっととかが多いでしょうかね?

一方でホールレンタルは、読んで字の如くライブハウスをバンドが貸し切って自主イベントを開きます。
ライブハウス側には一日のレンタル代(10万〜20万程度)を支払うだけですので、バンドを呼んで出演料を取るもよし、
ワンマンにするもよし、全ては主催者次第です。

今の日本のハードコアではブッキングはかなり少なく、9割以上はホールレンタルの方だと思います。
後述しますが、この種のバンドのライブ活動は土日がメインですので、土日のライブハウスはレンタルイベントでほぼ埋まっていきます。
その残った平日にブッキングを組んだりしているわけですね。
ただ、バンドもお客さんも平日には集まりにくいことが現状であり、ライブハウス側も週5日の収益稼ぎに頭を悩ませているのだと思います。


4)ハードコアのライブの動員について
自分のバンドもほぼ全てがレンタルイベントですが、これだけ人がいる東京の週末イベントではかなり良くて100人程度、10-50人前後が平均です。
東京以外で地方に行くと、さらに少なくなることが多く、ハードな移動をして行った土地でお客さんより出演者の方が多いなんてことも(笑)
メロコア系のイベントでは満員になることも珍しくないことを考えると、ハードコアの現状の厳しさが窺い知れます。

ちなみにこれは習慣的なものかもしれませんが、主催のバンドがライブハウス代を全額負担し、呼んだバンドに出演料を取ることはまずありません。
中国の宴会で、会計は誰かが全額負担してそれを持ち回りするみたいな話がありますがそれと同じですね(笑)
呼んだり呼ばれたりで持ちつ持たれつの関係性です。

さっき述べた通り、レンタル代は10-20万、動員は50人程度でチケット代は1500-2000円程度ですので、主催バンドが自腹を切ることもザラにあるわけです。
「好きなバンドがいたらライブ見に行ったり物販を買ってサポートして」
ってMCで言う人が多いのも、そう言った金銭的負担が理由でバンドを辞める人が多いことに起因しています。
(私は「サポート」っていう上から目線の言葉は嫌いですが(笑))


5)ハードコアバンドのメンバーの生活
自分も平日は普通にサラリーマンな訳ですけど、このシーンでバンド組んで驚いたのがかなりの人が同じように平日は働き、土日はバンドをしているってこと。
それにはもちろん言いことも悪いこともあるって思ってます。

まず悪いことで言えば、単純にバンドなんて沢山練習し、それ以外でもずっと曲作りしてた方が良くなるに決まってます。
よってプロに比べると純粋な演奏では粗さが目立つことは否めません。

良いところでいえば、生活源としてバンドをやっていないので純粋に音楽に向き合えることです。
言ってしまえば所詮は趣味なわけなので、自分たちの本当にやりたい音楽を好きなペースでやればいい。
某メジャーバンドが月給10万円でバイト禁止なんて条件でやってるのを聞いたこともありますけど、
そんな中で曲作りやライブすることのプレッシャーたるや。


6)ハードコアバンドの現状まとめ
現状としてはバンドで食っていくどころか全然赤字になっているバンドが殆どなのです。
せめてバンドでの経費をバンドでの収益で相殺するためにはどうしたらいいのか?
個人的にはやはりライブでの動員に尽きると思っています。
もちろん音源を出して売ることもありますが、CDが売れない現状や働きながらの曲作りに時間が要することがありますし。
(このジャンルでCDは売れても数千枚のレベルですので)
一方でライブでは、2000円チケットで200人動員できれば20万程度の収益が上がることになりますよね。



かなり長くなってしまいましたが、次回は現状打破の方向性について書いてみようと思います。